『美女と野獣』("Beauty and the Beast")

美女と野獣』って、100年語り継がれる物語とか言われてっけど、ひとことで言うと元々は「異類婚姻譚」だからね。なんかゾクっとするね。
その前にこの邦題にはちょっと思うところがありまして。もともとはフランスのお話だから”La Belle et la Bête”っていうらしいんだけど、これが綺麗に韻を踏んでるわけ。英語版の”Beauty and the Beast”もちゃんと頭韻を踏んでいまして。で、邦題はというと、『美女と野獣』って…。ジャ行で踏んでると考えるのもちょっと厳しいかって感じ。まぁそんな気にすることでもないんだけどね。え?代案なき否定を禁ずって?すみません。

この作品、昔のディズニーアニメ映画の実写版なんだけど、数年前にそのアニメ作品を観ようとしたことがあって。途中で観れなくなって。というのも、TSUTAYAで借りてきたBlu-rayに傷が入っててね、ベルと野獣のファーストコンタクトのシーンあたりでしっかり止まっちゃったの。いや、スゲェいいとこじゃん!!これから話が大きく動き出す大事な場面じゃん!!うぐぐぐ…!!!ってなったね。新しいの借りる気にはあんまなんなかったのでそれ以来観てません。後でTSUTAYAに「これ直したほうがいいですよ〜」って言いに行ったら無料で借りられる券みたいなの2枚もらったんだけどなんか恥ずかしくてまだ使ってないので欲しい方いたらあげます。多分渋谷店でしか使えないです。

何から書けばいいかちょっとわからないんだけど、まずはエマさんかねぇ。透き通った素朴な歌声で素晴らしかったし、気丈な感じがベルに合ってた。読書家のエマが、本の虫のベルを演じたのがリアルでまた良かった。僕はイギリス英語の発音が好きなので、それもよかった〜。キャストの話をすると、家来の声優にびっくりしました。ユアン・マクレガーとか、エマ・トンプソンとか、こんないい歌声持ってたの?え、守備範囲広すぎません!?つって。

f:id:oops_phew:20170424115841j:imagef:id:oops_phew:20170424120359j:image (ベルのコスチュームが似合うエマさん。)

個人的に印象に残ったシーンは3つあって、1つめは”Something There”(愛の芽生え)という曲のシーン。雪合戦の場面なんだけどね。野獣がめちゃデカい雪玉をベルに当てちゃうんだけど、それが顔面に直撃して真後ろにバタンとぶっ倒れるシーンがあって。脳震盪とか心配しちゃったよ(アニメ版を確認すると、当たってなかった)。下に動画貼っておくんで観てみてください。ベルが”And now he’s dear and so unsure”という歌詞をちょっとテンポから外して歌うのがオシャレで好きなんです(細かい)。あとやっぱアラン・メンケンは天才だね。

 「美女と野獣」♪愛の芽生え /(プレミアム吹替版Ver.) - YouTube

2つめはベルと野獣が本について話してるシーン。細かいことは忘れちゃったんだけど確かシェイクスピアの話をしていて、”Love looks not with the eyes, but with the mind; and therefore is winged Cupid painted blind.”(恋は目で見るものじゃない。心で見るものだ。だからこそ、翼を持つキューピッドは盲目に描かれている。)っていう『真夏の夜の夢』の一節を二人で言って盛り上がっちゃう。なんか映画とかドラマとかでさ、たまにシェイクスピア作品の一節をサラっと言う人いるけどなんでみんな覚えてんだろうね。僕も学校で夏目漱石読んだけど、一節を諳んじるとかできないよ?

3つめはラストに野獣が人間に変わるところで(これネタバレじゃないよね!?)、ベルが人間になった野獣の目をみるシーン。目をみて野獣だと確信するっていう象徴的な場面。実写版の方が野獣が人間的な外見をしています。元は人間だってのがわかる感じね。アニメ版の方は完全にモフモフな獣だったから。ぬいぐるみみたいだったから。

冒頭でちょっと原作について触れたんだけど、原作を読んだことがないのでちょっと調べてたらおもしろい記述を見つけまして。原作はベルの成長物語なんだけど、ディズニー版は野獣の成長物語になっている、とかフェミニズム要素を含んでいる、とかね。
ディズニープリンセス像というのは時代に合わせてかなり変化してきたものなので、これについては色んな考察ができると思ってるし、絶対めちゃくちゃおもしろい。時間がつくれたら色々考えてみたいぞ。変化といえば、ついにディズニー映画にもゲイキャラが出てくるようになったね。そのせいで上映禁止になった国もあるらしいけど。

本作はあの『美女と野獣』の実写化ということで、ごまかしのきかないド直球勝負、ハードルも高かったとは思うんですけど、見事に素晴らしい作品に仕上がっておりました。めちゃくちゃオススメします。実写化って、(おそらく2回はしないだろうから)タイミングが難しいよね。「今」でいいのか?エマ・ワトソンでいいのか?っていう。なんか、今からこっちにそんなことを考える暇も与えぬほどバンバン実写化していくみたいですね。『ムーラン』、『ライオン・キング』、『ピーター・パン』、『アラジン』とか。一昨年の実写版『シンデレラ』も、傑作すぎて映画館で感動した覚えがあるので、後続にも期待が高まりますね。

最後に、注目の主題歌はアリアナ・グランデ(とジョン・レジェンド)が歌ってるんだけど、アリアナさんは歌うまいね。最近出てきたシンガーソングライターの中でダントツでうまいと思う。調べたら彼女はアフリカの血が入ってて、ビヨンセとかマライア・キャリーもそうだから血の力は少なからずありそうだよね。こういう話をすると、高校の生物の先生が「黒人はね、我々とミトコンドリアが違うんですよ。だから長距離走で強いんです。」みたいなこと言ってたの思い出すんだけど、ホントなのかね。。。