『スウィート17モンスター』("The Edge of Seventeen")

映画をたくさん観ていると、たまに「大作じゃないんだけどどうしても観に行きたい!!」ってやつがあって、そういうのってだいたいミニシアターっつーの?でしかやってないことが多くて。本作もそう。シネマカリテっていう新宿の映画館で観てきました。シネコンもいいけど、ミニシアターにはまた違った魅力があって。座席が少ないからみんなで観てる!って感じの一体感があって。なんつーか、謎のホーム感。この作品は結構コメディーシーンがあったんだけど、笑う時にシネコンの時より遠慮がいらないというか。ミニシアター特有のそんな空気感があったりするのです。あと、館内ロビーに雑誌の切り抜きが貼ってある感じとかね。誰かわかる人いないかな。

ミニシアターで感じた一体感でとても印象に残ってるものがあって、今年の1月に『はなればなれに』っていう古いフランス映画を観た時なんだけど、序盤のナレーションで「遅れてきた観客のために今までの内容を説明しよう」みたいなのが入ったの。ちょうどその時に遅れ客が入ってきて、タイミングがバツグンすぎておもしろかった。あと映画の中で登場人物たちが1分間沈黙するシーンがあって、映画館でみると、特にこういうミニシアターでみるとまた別の感動があるなぁなんて思ったりしました。

ちょっと話がそれちゃった。さてさて、『スウィート17モンスター』の話をば。
えーと、今回は邦題についてはあえて触れないことにして、そのまま内容の方にいきたいと思います。17歳っていう難しい時期にいろいろこじらせちゃったイタイ女の子(名前はネイディーン)のお話なんだけど、その暴走加減が妙にリアルで良かったのでございます。もうそこだけを前面に押し出したような感じでつくられていて。でも誰もが体験してきた大人になるための過程だから、どこか懐かしくて、なんか責められなくて、うんうんそうだよねって見守ったくなっちゃうような感じ。自分が嫌いで、みじめに思えて、親とも一向に分かりあえなくて、みたいな。人間関係にもがき苦しんじゃうけど、甘酸っぱい恋愛なんかもあって、みたいな。(まだ20歳のお前が偉そうに言うなというご意見は基本的に受け付けておりません)

そんな女子高生役を器用にこなしてたのが、ヘイリー・スタインフェルドさん。美人すぎないのが合ってたね(失礼)。んー今まで知らんかったけど、調べてみたら『トゥルー・グリット』に出てた子なのね!そして同い年という。不思議な気持ち。
話の性質上ネイディーンが一人で画面に映ることが多いんだけど、もう引き込まれちゃって。画面から目を離す隙がないっつーか。ヘイリーさんはブスに見える表情を躊躇なくやってのけるから(ここら辺は最近観た『ラ・ラ・ランド』のエマ・ストーンに似ている)、清々しくもある。
いつもふてくされててブサイクなネイディーンがすごく可愛くみえたのが、イイ感じになってる男の子がつくった映画を映画祭で観てる時の表情(画像探したけどなかった)。映画の中で登場人物が映画観てるシーンってなんかいいよね。

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(ムスッ)

悲劇のヒロインぶってたり、デートの前にタンスの中をひっくり返ちゃうような少女だったネイディーンが母親に大人だと認めてもらえるシーンが最後の方にあるんですけど、そのシーンがとても象徴的で、みんなこうやって大人になっていくんだな〜って思っちゃって。こういう、ティーンエイジャーがある経験(失敗)を通して大人になっていくみたいな映画っていっぱいあるよね。僕が最近観たのは『17歳の肖像』かな。

予告篇の音楽にビートルズの『ヘルプ!』が使われてたんだけど、もうそれがピッタリすぎてね。それもビートルズが歌うズンチャカな感じのヘルプじゃなくて、しっとりとした感じの、Howie Dayという人のアコギが印象的なカバー。実はこれ、どっかで聴いたことあると思ったら『アイ・アム・サム』のサウンドトラックだった。確かこれはサントラにビートルズの曲を使おうとするとめちゃくちゃお金がかかるから、予算の関係上いろんなアーティストにカバーしてもらったっていう映画で、結果的に作品の雰囲気にぴったりなサントラになったやつだ。ヘルプは、その中からの一曲。下に貼っときます。

Help - Howie Day (Beatles cover from I am Sam Ost).wmv - YouTube

…みたいな感じでした。あぁ、若いって、難しいけど素晴らしい。