『サーカス』("The Circus")

自他共に認めるほど相性の悪いバイト先の後輩と野外シネマの話をしていた時に、なぜか「一緒に行こう」ということになった。なんで野外シネマの話になったのか覚えてないし、ましてや何がどう転んで二人で一緒に行こうという流れになったのかも覚えてない。

恵比寿ガーデンプレイス。普段絶対行かないような場所に、一緒に出かけることはないと思っていた人と映画を観に行く。ある意味、奇跡のような映画体験。話しているととっても楽しい子だから別にいいんだけど、バイトをしていなかったら僕の人生に登場しなかったであろう種類の人間なので、まぁこれも一種の人生経験なんだろう。

もう、待ち合わせからしんどかった。
僕が駅集合にしたのとか、東口って指定してなかったのとかが悪いんだけど、恵比寿ガーデンプレイスっていわれたら普通東口にくるじゃん。なのに、あの子、西口から出ちゃって。もう、即電話。

「今どちらにいらっしゃいますか?」
「東口だけど。もしかして、違うとこからでちゃった?」
「はい、すみません…笑」
「んーとじゃあ今からそっち向かうから、そこから動かないで」
「え、もう動いちゃいました…!」
「(やばい、この子にじっとしてろというのは無茶な話だった…)」

みたいな感じで、これ以上ないくらい不器用な会話を、洗練された街エビスで繰り広げつつ。

「なにか目印とかあります?」
「俺いま恵比寿さんの像の前にいるよ!」
「え、恵比寿さんの像って、恵比寿駅に何体かいるんじゃなかったでしたっけ」
(ちなみに後日調べたところ、何体かいるのは事実なんだけど、他は駅の外にいるみたい。)

てな感じでその後も相性の悪さを存分に発揮しつつ。10分くらいかけてやっと会えました。はい。このまま会えずに映画が始まって終わって夜がふけるかと思った。

相性悪いエピソードは他にも途中で寄ったスタバでなんたらチーノにクリームをのっける派か否かが分かれたりといったのもあるけど、そこまでいくといよいよ映画に関係ないのでここらへんでやめときます。

今回観た映画は、チャップリンの『サーカス』。芝生の上で観るにはぴったりのコメディです。72分しかないので、おしりも適度な痛さ。
コメディに全振りの映画なので、おもしろかった!以外の感想はないんだけど、強いて言えば動物を使ったシーンがたくさんあったのにびっくりしたな。この奇跡的におもしろいシーンが撮れるまでに何度NGを出したことだろうって想像してしまって。完璧主義のチャップリンだから、つきあわされた動物も大変だったと思う。

f:id:oops_phew:20170914021411j:image(このシーンはえらいコトになってました)

チャップリンの作品は今まで『独裁者』、『街の灯』とかしか観たことなかったから、この機会にこういうテイストの作品が観られてよかった。彼の笑いのセンスは現代にもバッチリ通じていて、ホンモノなんだなって思いました。never gets oldってやつですね。会場は笑いに溢れていました。

あ、あと曲が意外とよかった。楽しげな雰囲気の中にどこか切なさも感じられてね。同じテーマが何回も繰り返されるから、楽しい記憶と共に、耳に残る。

それにしても、ツレがゲラゲラ爆笑していたのは隣にいて気持ちよかったな。なんだかんだあったけどこの子と一緒に観に来られてよかった、って思った。

f:id:oops_phew:20170914021513j:image(こんな感じでした〜)